遺産保護行政論 2021年度

毎年集中講義として2日間を通じて実施をしている「遺産保護行政論」を筑波大学東京キャンパスにて実施しました。

今年度は文化庁の文化財調査官(鈴木地平氏)と青森県の世界文化遺産登録推進室の中澤寛将氏よりご講義をいただきました。

 

世界遺産の新規申請にかかる手続きや推薦書作成上の業務や各種の課題、暫定一覧表の更新、そして登録された世界遺産の保存や管理、さらには日本の指定等文化財とは一部に異なる活用に対する考え方等、国内外の各案件の実例を通じた幅広く、また最新の情報をご提供いただき、たいへん充実した内容でありました。

 

今年開催された世界遺産委員会で登録されるに至った「北海道・北東北の縄文遺跡群」については、推薦の準備の過程で、どのような議論があったのか、どのように価値と構成資産を検討し、資産や緩衝地帯における保全体制を構築したのかご講義いただき、推薦の過程での議論が遺産の世界史や人類史的意義を再発見し、より長期的で体系的な保存手法や体制の構築に有意義なものであることについて学ぶことができたように思います。