【遺産の価値を読み解く】
文化遺産や自然遺産は、単なる過去の遺物ではなく、人々の記憶や地域の歴史、自然環境との関係を伝える重要な社会的資源です。本研究室では、建築史学・考古学・歴史学・景観研究・保存科学などの学際的な視点から、遺産が有する価値を多角的に読み解き、その本質的価値の再発見に取り組んでいます。
世界遺産や国内の文化財、ジオパークなどを対象として、価値評価の理論的検討や比較研究を行うとともに、世界遺産推薦書の作成支援や国際的な価値評価にも携わっています。これまでに、百舌鳥・古市古墳群や佐渡島金山をはじめ、防災遺産-立山砂防、近世日本の教育遺産、平泉(拡張)などの国内事例に関する学術支援を行ってきました。また海外では、ベトナムのYen TuやOc Eo–Ba The Archaeological Site、カンボジアのSambor Prei KukやBanteay Chhmar、タイのソンクラーとラグーン集落、モンゴルの匈奴貴族墓群などを対象として、世界遺産推薦や国際的な価値評価に関わっています。
遺産の価値を学術的に評価することに加えて、その魅力や多様な価値を社会に向けて分かりやすく伝えることも重要な課題と考えています。歴史的背景や人々の営み、自然環境との関係を含めたナラティブ(物語)として遺産を捉え直し、多様な人々がその価値を共有できる方法について研究しています。
【建築の保全と活用による創造的な地域と遺産形成】
歴史的建築やまちなみを活かした観光や文化活動、地域の活性化などにも関心を持ち、遺産が人々をつなぎ、新たな価値や魅力を生み出す可能性について探究しています。
歴史都市や伝統的集落における建築や空間の保全と創造的な活用を通じて、特徴的な地域を形成するための方法を考えていきたいと考えています。そのために1)建築遺産の保存・再生のデザイン,2)地域の歴史や文化に根差した計画策定,3)遺産と開発のバランスを考えた影響評価のあり方,4)遺産を活かした地域参画の仕組みなどをテーマとしています。
【遺産を活かした地域の未来構想】
遺産は保存されるだけでなく、地域社会の未来を支える資源として活用されることが重要です。本研究室では、文化財保存活用地域計画や歴史的風致維持向上計画、景観計画、地域振興施策などを対象として、遺産を核とした地域づくりに関する研究を進めています。
また、ユネスコ世界ジオパークや日本ジオパークの評価・審査活動に携わる中で、文化遺産と自然遺産を包括的に捉えた地域資源の保全と活用について関心を持って取り組んでいます。世界遺産、日本遺産、ジオパーク、景観政策、観光政策など、それぞれ異なる制度やプログラムが相互に連携することで生まれるシナジー効果に着目し、地域の魅力向上や持続可能な地域発展にどのように貢献できるのかを研究しています。
こうした活動を通じて、遺産の価値を地域社会と共有しながら、将来世代へ継承していくための理論と実践の構築を目指しています。
SHIMODA Laboratory
World Heritage Program, Graduate School of Comprehensive Human Sciences, UNIVERSITY of TSUKUBA
