TOPIC 4: 建築遺産の保存と国際協力

【建築遺産の修復技術にかかる研究】

歴史的建造物や遺跡を将来世代へ継承するためには、その構造や材料、施工技術を正しく理解したうえで、適切な保存修復を行うことが重要です。本研究室では、石造建築や煉瓦造建築を中心として、建築遺産の構造や工法の解明、修復技術の開発に取り組んでいます。

 

修復工事に先立ち、建築の形態や構造、材料特性、劣化状況を詳細に調査し、建設当初の施工技術やその後の改変過程について検討します。その上で、遺産の真正性や完全性を尊重しながら、長期的な保存に資する修復材料や施工方法について研究を行っています。

 

カンボジアのアンコール・ワットやバイヨン寺院では、日本国政府アンコール遺跡救済チーム(JSA)の活動に参画し、石造建築の保存修復に関する研究を進めてきました。また、サンボー・プレイ・クック遺跡群では、煉瓦造建築を対象として、構造調査や材料分析、修復工法の検討を行っています。さらに、インドネシアのボロブドゥール寺院では、挙動観測や構造解析を通じて、大規模石造建築の長期的な保存管理に関する研究に取り組みました。

 

本研究室では、建築史学、構造工学、材料科学、保存科学などの知見を横断した保存修復技術と計画策定に協力していきたいと考えています。

アンコール・ワット寺院

バイヨン寺院

ボロブドゥール寺院



【遺産保護のための国際協力と人材育成】

文化遺産の保存は、一つの国や組織だけで実現できるものではありません。遺産保護を担う専門家の育成と、国際的な知識・技術の共有が不可欠です。本研究室では、各国の研究機関や文化遺産行政機関との連携を通じて、国際協力と人材育成に取り組んでいます。

 

カンボジアのサンボー・プレイ・クック遺跡群では、煉瓦造遺構の保存修復に関する研究と実践を進めるとともに、現地研究者や技術者、学生を対象とした研修や共同調査を実施してきました(2021-2023年の文化庁委託事業についてはこちら)。

 

近年では、エジプトや中国をはじめとする海外の大学・研究機関との連携を通じて、文化遺産の保存管理やデジタル技術に関する教育・研究活動も展開しています。共同研究や国際ワークショップ、フィールドワークを通じて、国境を越えた学術交流と若手人材の育成を推進しています。