2024/12/06
「文化遺産論」でティーチング・フェロー(TF)の講義
2024年11月14日と21日の2回にわたり、博士後期課程3年の袁星雅が「文化遺産論」の授業をティーチングフェロー(TF)として担当しました。2回の共通テーマは「大規模開発事業の影響から文化遺産保全を考えよう:文化遺産保全における影響評価制度のあり方」です。それぞれの講義において、文化遺産保全における影響評価制度をテーマに、多角的な視点から実践的な議論を展開しました。
2024/09/05
多賀城創建1300周年整備
今年創建1300周年を迎える多賀城。来月末に完成する南門復元工事も大詰めです。史跡整備の見本市ともいえるこの特別史跡では、建築復元、半立体表示(屋根組まで、柱列まで、基壇のみ)、盛土表示、平面表示、模型表示(復元建物、発掘遺構)、露出展示、AR、VR表示という考えうる全ての整備手法が見られます。地上遺構の復元が不確かな条件で、これらを組み合わせて、最大限の魅力伝達と最高のコストパフォーマンス、そして遺産の真実性の担保を図ってきた取り組みが蓄積されています。 中央政権が蝦夷併合を国衙の示威によって実現しようとした史実を実感します。 あとは南門から政庁への大通りを横断している道路と電線への対策にも期待したいです。
2024/08/31
三好ジオパークの自然と文化
三好市東祖谷の落合集落はいつかは行きたい伝建地区の一つでした。このたび、三好ジオパークの新規認定審査の機会に、この伝建地区を訪れる機会を得ました。吉野川とその支流の祖谷川が形作った険しい渓谷の自然美と、周囲の急峻な傾斜地に継承される伝統の知恵と生活。三好ジオパーク構想では、これらを学び、残していくための魅力的な物語が紡ぎだされ、体験するための様々な試みが準備されていました。 また、当地を訪問する機会を設けたいと考えています。
2024/08/22
Si Thep: Khao Klang Nok寺院
2023年に世界遺産にも登録されたドヴァラヴァティーの中心的な痕跡であるSi Thep遺跡群を訪れました。バンコクからはかなり離れていることもあって、訪れることはやや困難ですが、一間の価値ある遺跡群です。Si Thep遺跡群の中心は東西にやや長い楕円形の環濠内の地区で、ここには多数の仏教・ヒンドゥー教寺院が分布しています。ただ、そうした中でも印象的であったのは、環濠の外、北側に位置するKhao Klang Nok寺院です。
2024/08/20
ジャヤヴァルマン7世の地方寺院
アンコール王朝12世紀後半の治世者であるジャヤヴァルマン7世は王都アンコールに多数の大型寺院を建立し、また版図各地を接続する国道(王道)とそれらと合わせた施療院や宿駅を築きました。さらに加えて、地方の拠点都市にも大型寺院を造営しました。こうした地方寺院は共通する構造を持つものがあり、今回、カンボジアとタイに位置する3つの大型地方寺院を調査しました。
2024/07/29
四川省歴史地区(古鎮)での学生演習
7月20日から29日にかけて、中国四川省の成都市と邛崃市にて建築遺産演習を実施しました。 各所で開催されたシンポジウムと交流会、勉強会にも参加し、中国と日本の文化遺産の近年の研究や取り組みについて広く共有することができました。 また、平楽古鎮を中心として歴史地区を訪れ、伝統的建造物や景観の保存と観光開発の実態を観察し、いくつかのテーマに対して調査を行いました。学生グループによるこうした調査成果は、最終日に成都市内で四川省、成都市の関係部局の担当者や関連学会の先生方に発表し、コメントをいただくことができ、実践的な演習になりました。
2024/07/14
エジプト カイロ・アレクサンドリア訪問記
筑波大学世界遺産学学位プログラムはエジプトのアレキサンドリアに位置するE-JUST(エジプト・日本科学技術大学)のHeritage Studies Programと学術交流を行っています。今回はエジプト人学生の修士論文の審査の機会に現地を訪問し、論文審査に参加するとともに、今後の学術協力についての協議や遺産の現場や博物館等の視察をしました。コプト教の修道院や巡礼路に関連する遺産、カイロのギザとサッカラの遺跡群、カイロの旧市街地とシタデル、オープン間近の大エジプト博物館の保存センターなどを訪れる機会を得ました。
2024/06/17
タイの伝統水辺集落の調査
Kasetsart大学のPatiphol Yodosrang先生が取り組んでいるタイの伝統的な水辺空間の調査に2日間参加させていただきました。彼の調査はカヤックで河川や水路を巡って行うもので、かつてはこうした水路が生活の基本動線であった集落を研究する最適なアプローチです。今回は2日間にわたってバンコクの西方約70kmに位置するラチャブリーの伝統集落と、アユタヤ遺跡の環濠を訪れました。
2024/06/14
SPAFA東南アジア考古学カンファレンス
2年に一度開催される東南アジアの考古学と芸術に関する研究大会であるSEAMEO SPAFA 2024カンファレンスがバンコクで開催され、多様な研究成果や進捗報告がなされました。各国の考古学サイトでの研究成果を発表するセッションが多くを占めますが、その他にも博物館展示に関するセッションや特定の分析技術の適用方法に関する研究等、テーマは広範に及びます。私はセッション10「Multi-disciplinary Research on Cultural Connection in Mainland Southeast Asia and its Applications」の共催者として参加し、「Revealing the Chronological Evolution of Provincial Urban Ruins in the Angkor Empire: Insights from a New Investigative Campaign at the Banteay Chhmar Archaeological Site」というタイトルでバンテアイ・チュマール遺跡にて今年から開始した研究
2024/06/07
高精細複製の障壁画調査
2024年6月3~4日にかけて博士前期2年岩瀬の修士研究テーマ「歴史的建造物における障壁画の保存活用に関する研究―移設保存時の代替品の使用について―」に関わる調査として京都市内にて調査を行いました。今回は近年障壁画のオリジナルに変わって歴史的建造物に具えられる例が多い高精細複製を扱っている方々にお話を伺うことを目的に調査を行いました。

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