サンボー遺跡での久しぶりの調査

2015年の調査以来,約4年ぶりにサンボー・プレイ・クック遺跡群を訪れて調査を行いました。2017年にこの遺跡群は世界遺産に登録され,カンボジア政府による管理機構も設置されて以前とはずいぶんと管理状況が変わっています。

 

観光客も以前に比べるとだいぶ増えたようで,特に休日は大型のバスがかなりの台数シェムリアップから来るようになりました。日本はちょうどお盆の時期であったためか,日本人の団体ツアーも多くなりました。

 

南側の寺院では,カンボジア政府の修復チームが煉瓦遺構の修理と境内の整備を進めており,見違えるような雰囲気になりました。この修復チームは以前から工事を一緒に行っていたメンバーが大半で,長年にわたる修復のための技能者育成の成果が活かされることとなりました。

 

私が以前に参加していた北側寺院の中央祠堂においても,2017年に修復工事を終えて,構造的にも安定した状況になりました。今回の調査では,この修復工事報告書に必要となる図面一式を作成することが一つの目的でした。写真測量により遺構の三次元モデルを作成し,そこから起こした図面に煉瓦や装飾の線,また修復箇所の記録をしていくという作業です。約10日間の調査で,修復遺構の完成図面となる立面図と,この遺構が建つテラスの平面図の現場記録を終えることができました。

 

その他,早稲田大学の考古学研究室のメンバーが参加し,寺院の一部で樹林が覆われており,これまで人が踏み込んだことのないエリアの伐開をし,地形測量を行いました。その結果,約2mほどの高さの円形のマウンドが記録され,なんらかの地下遺構が埋まっている可能性が高いことが確認されました。

 

今月後半からは,別のメンバーで再びこの遺跡群の調査を再開する予定です。