サンボー・プレイ・クック遺跡群には複数の寺院に多数の煉瓦造祠堂が遺されていますが,それらがどのような順番で建造されたのかはほとんど分かっていませんでした。大型の複合寺院であるプラサート・サンボーとプラサート・イエイ・ポアンが7世紀初頭に建立され,プレ・アンコール期からアンコール時代への移行期にプラサート・タオが建立された,というのが建築装飾の様式研究より明らかにされていたこれまでの見解の全てでした。
このたび,これら祠堂の煉瓦の化学組成の分析を行い,また煉瓦のサイズと化学組成の分析結果を組み合わせることで,煉瓦祠堂が5つのグループに分類されることが明らかとなり,5期の建造時期を特定するに至りました。上述の大型寺院もまた,それぞれが一時に建立されたのではなく,複数期に渡り造営が続けられたこと,また並行して複数の寺院が建造されていた様子も明らかになりました。
その成果については学術雑誌Heritageに投稿し採用されました。
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