バイヨン寺院の堆積土の除去調査

アンコール遺跡群バイヨン寺院では日本国政府による修復工事が進められていますが,これと連携して日本ユネスコ協会連盟とJSTとが協力し,回廊の修復工事が進んでいます。

 

回廊はナーガとガルーダに縁どられた欄干がめぐらされ,また階段の両脇には獅子像が飾られています。過去にはこれらの石材の多くは周辺に散乱していましたが,これまでの修復事業により,全周で約600mにおよぶ回廊の多くの範囲で修復を終えました。

 

これから回廊西側の一部で同様の修復工事が開始されますが,予定箇所の周辺には土砂が堆積しており,修復工事に先立ち,これを除去する必要があります。1930年代に撮影された写真を確認する限りでは,当時修復工事を進めていたフランス極東学院により,回廊の周辺は整備され,土砂の堆積は認められません。そのため,この土砂は30年代以降に盛られたものと考えられますが,その目的が定かではありません。

 

そのため,土砂の除去においては,慎重を期して考古学的な調査と同様の方法で臨むこととなりました。8月14日作業が開始され,約一か月間をかけて除去を進める予定です。

また続報をお伝えしたいと思います。