学外演習3:行政発掘調査の現場へ

千葉県教育庁文化財課が筑波エクスプレス沿線で進めている発掘調査の現場を視察しました。

区画整理事業の敷地として平成9年に開始された長期にわたる考古学調査のサイトです。縄文時代の住居跡と中近世の屋敷周濠に推測される溝などが出土している状況を見学させていただきました。

考古学的発掘調査の方法に加えて、行政発掘調査の手続きや方法、体制などについて千葉県の文化財課の専門職員の方々よりご教示いただきました。

また、室内に場所を移して、地方公共団体の文化財行政の全般についてご講義と学生との対話の機会を得て、たいへん充実した機会となりました。

 

とかく学生の興味や関心は文化遺産の保存や展示、活用のための新しい技術や手法に向かいがちですが、現場で必要とされていることは、より基本となる保存や建造物等の維持が重要であること、それから、市民の方々の文化や歴史に対する認識と、来訪者の描いているものとのギャップでどのような文化遺産の保存と活用を行っていくべきか等、いろいろな話題で多くの気付きのある学びの時間になったように思います。

 

つくばエクスプレスからの車窓は、駅付近の住宅地とその間の広大な農地や緑地との連続で、そこに豊かな文化と歴史があることを思い描くのが困難ですが、こうした発掘調査によって広大な埋蔵遺跡が広がっていることをしることで、電車から眺める景色がまた違ったものになるように感じます。生の歴史触れる機会として、身近な発掘調査の現場を訪れることが大きな効果があることに改めて気付かされました。