百舌鳥古墳群世界遺産シンポジウム

2021年12月18日に「百舌鳥・古市古墳群世界遺産シンポジウム」が大阪府羽曳野市で開催されました。

 

世界遺産への申請時に文化庁の担当官としてお手伝いしていた縁で、今回このシンポジウムでお話をさせていただきました。

久しぶりの会場でのオンサイト開催となり、大勢の方々がご参集され、また登録後に現地を久しぶりに訪れ、多くの方が高い関心を寄せていることを強く実感しました。

私の講演では「世界の土製建造物より考える百舌鳥・古市古墳群の保存と復元」と題して、世界各地の土で造られた建造物について紹介した上で、古墳群を今後どのように保存し、維持管理していくのか、また、来訪者の学びのために復元措置も含む整備・活用をしていくべきか、考えを提示させていただきました。

世界遺産としては現状維持が基本方針ではありますが、古墳の場合にはそのままでは価値が十分に伝えられないことも想定され、どのようにその価値を伝えていくことができるのか、そのための方法や議論・決定に必要なプロセスについて考えてみました。

 

その後の討論では、司会に加えて3名の登壇者にて、1時間ほどにわたり、幅広い話題について話ができました。

古墳の世界遺産としての意義は何か。。。

それをどのように周知して行くべきか。。。

世界遺産となった古墳は観光をはじめとする経済的な観点からどのような可能性を秘めており、一方でそれらへの過剰な期待や利用によってどのような課題が生じる危険性があるのか。。。

そして、古墳の活用や継承がどのように「まちづくり」や「ひとづくり」に貢献することができるのか。。。

 

会場の方々からの拍手や頷き等の反応が、こうした議論を大きく展開していく上で、とても重要なものであることを、久しぶりのオンサイトでのイベントにて感じました。

今後はオンラインとオンサイトの併用が一般化し、多くの方々にご参加いただきながらも、会場は熱く盛り上がっていくようなイベントが増えていくことを期待しています。