昨年度に引き続き、今年度もカンボジア、サンボー・プレイ・クック遺跡群の保存・修復のための人材育成プログラムを文化庁の文化遺産保護国際貢献事業の委託を受けて行っています。
この事業は大きく3つのプログラムよりなりますが、その一つがカンボジア政府の遺産保護機構の専門家との交流と研修を実施するものです。2021年11月と12月に7日間にわたり実施しました。
当初の計画では、日本にカンボジア人の遺産管理職員を招聘し、日本国内の考古学サイトを視察しつつ研修などを実施する予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響より、オンラインでのプログラムとして実施しました。
本年度はカンボジアの遺跡群の研究や保存管理に関連して特に取り組みが求められる3つのテーマに基づいてプログラムを実施しました。
1)都市型遺産における考古学研究の手法
2)煉瓦造遺構の修復技術
3)考古遺跡に付属する博物館の企画と管理
7日間のプログラムではこれらいずれかのテーマに基づいて、発掘調査のサイトや修復現場、博物館とオンラインで接続したり、事前撮影した動画を視聴しながらの講義を実施しました。
「都市型遺産における考古学研究の手法」では、奈良文化財研究所より井上和人、金田明大、橿原考古学研究所より本村充保、岡田憲一氏よりそれぞれご講義や調査機材を利用した指導等をいただきました。
「考古遺跡に付属する博物館の企画と管理」においては、大阪府立弥生博物館の禰冝田佳男、奈良県立橿原考古学研究所の吉村和昭氏より、ご講義と各博物館の展示室から展示の方法や工夫、そして市民体験プログラムの方法等についてお話いただきました。
「煉瓦造の修復技術」については筑波大学松井敏也先生より、富岡製糸場の煉瓦遺構の保存や修理に関する保存科学の技術やモニタリング方法についてご講義いただきました。
来年度は、本事業の3年目となり最終年度になる可能性が高いところです。ぜひ日本に専門家を招聘して実施ができることを願っています。
本プログラムにご協力いただきました先生方、本当にありがとうございました。
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