土浦市の文化遺産利活用調査(演習3)

615日~17日の3日間にわたって、土浦市の登録有形文化財「一色家住宅」をはじめとする歴史的建造物と城下町の歴史文化資源に関する調査を実施しました。

 

初日には、一色家において森本英裕先生から、「古民家の調査方法と利活用事例」について講義がありました。この講義では、歴史的な民家を調査する際のアプローチの仕方や民家が地域の環境によって多様な形態を発展させることについて紹介されました

 

 

講義終了後、大きく3つのグループに分かれて、調査を進めました。


グループ1「一色家住宅の建築と庭園調査」

グループ1は一色家住宅の測量等調査と撮影を三日間で行いました。一色家住宅は土浦市に残る唯一の武家屋敷ということで、土浦の武家屋敷の特徴があるのかどうか考えつつ調査を行いました。

1日目は平面図と全体配置図の野帳を作成しました。図面作成が初めてのメンバーも多く実際に作業をしつつ覚えていきました。2日目は一色家住宅の実測と庭園の撮影、矢口家・郁文館のヒアリング調査を行いました。屋根裏の調査や庭園の飛び石の調査はこれまで知り得なかった情報を引き出すことができました。3日目は痕跡調査、庭園調査、360度カメラ撮影を行いました。一色家住宅が現在地に移築されどのように増築が行われたのかを考察しました。

三日間を通して古民家、武家屋敷の調査方法や特徴を学ぶことができました。今回の調査をもとに図面作成やVRツアー作成を行い一色家住宅の記録を行っていきます。

(M1 岩瀬)


グループ2「地域の歴史文化資源の調査」

グループ2が取り組んだ課題は3ありました。

1.        歴史的建造物・未登録文化財・指定文化財:建造物、史跡、登録有形文化財の調査

2.        1979年の調査をもとに、水戸街道の現状と変遷を分析・記録

 

3.        地域ボランティアガイドの活動や土浦市の観光の魅力を探るためのインタビューや、土浦市観光協会とのヒアリングへの参加

これらの作業は、土浦市での3日間のフィールドワークの中で行われました。2日目と3日目も、水戸街道の史跡を探し出し、都市景観を記録する作業を続けました。私たちが一番驚いたのは、この44年の間に土地の基本的な構造や配置が大きく変化していることでした。景観が大きく変わったことにより、以前の建物や構造物を追跡して探し出すことが困難な場合もありました。

During the 3 days of fieldwork, the Group 2 had three tasks ahead of them.

1)    continue the previously started documentation of historical building歴史的建造物 non-registered cultural properties 未登録文化財registered cultural properties: buildings, historic sites, registered tangible properties 指定文化財建造物、史跡、登録有形文化財

2)    based on the research from 1979, analyzing and documenting the current situation and the changes on the Mito Kaidō水戸街道

3)    conducting interviews with the local volunteer guides to explore their activities and the touristic appeal of Tsuchiura city and participating on a meeting with the Tourism Association of the city.

 

These three tasks took place during the three days of fieldwork in Tsuchiura City. On the second and third days we continued with the tasks of locating the historical sites and documenting the urban landscape of Mito Kaidō水戸街道. For us, the biggest surprise and most interesting part was how much the basic structure and layout of the land had changed in the last 44 years. In some cases, it was difficult to follow and locate the previous buildings and structures because the whole landscape has changed drastically.

(D1 Tamas)


グループ3「土浦市内の地域の文化活動に関する調査」

グループ3は土浦市の文化・生涯学習に関連する施設と団体にヒアリングを行いました。対象は二中地区公民館、土浦市文化協会、クラフトシビックホール土浦、生涯学習館、土浦第一中学校、文化財愛護の会、土浦市民ギャラリー、亀城プラザ、土浦市博物館の9つです。ヒアリングの主な項目と内容は以下の通りです。

  1. 施設の利用状況和室の利用、利用者の年齢層、課題点
  2. 同好会や団体の活動状況活動頻度、年齢層、成果発表の場所、和室利用の多い団体
  3. 施設開催の講座の内容子ども向けプログラム、地域の歴史を学ぶ内容はあるのか
  4. 授業での地域史の扱い学校で郁文館についての学習状況

 

ヒアリングの結果、土浦市は同好会活動が盛んで多くの同好会が市の文化・生涯学習に関連する施設で活動していることがわかりました。和室を利用している団体は文化系から運動系まで多くの同好会があり、一色家の活用にも様々な可能性があると思いました。

一方で、貸しスペースのある施設の利用者や同好会に所属している人の多くは高齢者であり、若年層が少ないことが施設側も同好会側でも多く聞かれました。また、各施設で開催されている講座の内容には子ども向けのものや地域の歴史を学ぶことができるものは少なく、中学校でも郁文館について学ぶ地域と若年層をどのように結び付けていくかが課題であると感じました。

 

3日間の活動を通して、一色家住宅、郁文館、矢口家住宅を子どもから高齢者まで多くの地域住民が土浦の歴史を感じながら持続的に活用できる場所にしていきたいと思いました。

(M1田中)