文化庁調査官からの講義シリーズ

文化財保護の歴史や政策の展望、国内の文化財や世界遺産にまつわる最新の諸問題や試みについて文化財調査官よりご講義いただく「遺産保護行政論」を行いました。

文化財鑑査官をはじめとして、記念物の各類型と世界遺産を担当されている計9名の調査官より2日間にわたって対面とオンライン形式を織り交ぜて講義をしていただきました。今年度からは、文化遺産に関連する教育プログラムを有する国内大学の聴講生も参加できるかたちで実施しました。

史跡、名勝、天然記念物、埋蔵文化財、文化的景観という多様な文化財類型における課題や施策、また近年の保存に加えての活用への取り組みについてご教示いただくことにより、各類型に特有の難しさや魅力を理解する貴重な機会になりました。

また、世界遺産においては、価値形成、コミュニティー参画、周辺環境の関与、変化する遺産の保護の在り方、といった国内の文化財行政にも大きな影響を与え、また世界的にも検討が進みつつある問題を焦点として、多様な事例からご講義をいただきました。

来年度は建造物を担当されている文化財調査官よりご講義をいただくことになる予定です。参加した学生にとっては自身の研究に有益な手がかりが得られるとともに、将来の進路を考える上でも重要な経験になったのではないかと思います。ご講義いただいた調査官の方々には記して感謝申し上げます。