バンテアイ・チュマール遺跡群の調査開始

アンコール遺跡群より北西に170km、タイとカンボジアの国境をなすダンレック山脈の南に20km程に位置するバンテアイ・チュマール遺跡群での調査を行いました。

バンテアイ・チュマール遺跡群はバイヨン寺院と双璧をなす12から13世紀にかけてのクメール都市であり、中央寺院の周辺には都市規模での痕跡が多数確認されています。

カンボジア政府は世界遺産の推薦準備も進めており、顕著な普遍的価値の潜在性を検証するために各方面からの研究が進められつつあり、また近年では遺跡修復や整備も急速に進展しています。

しかしながら、遺跡群の空間的・時間的な広がりを研究する試みは限られており、今後数年かけて総合的な調査を行いたいと考えています。

カンボジア政府文化芸術省との研究協定を2月末に締結し、今後は総合的な研究と遺跡整備にかかる取り組みを開始する予定であり、今回の調査はその第一弾となるものです。

今後の調査の方向性を検討することを目的に、遺跡群内外の考古学サイトの悉皆調査、中央寺院の回廊浮彫記録、衛星寺院の建築学調査と三次元形状測量を行い、その他、地下探査(GPR)やハンドオーガーによるボーリング調査も実施し、今後の調査対象地や研究潜在性を検討しました。