SPAFA東南アジア考古学カンファレンス

2年に一度開催される東南アジアの考古学と芸術に関する研究大会であるSEAMEO SPAFA 2024カンファレンスがバンコクで開催され、多様な研究成果や進捗報告がなされました。

各国の考古学サイトでの研究成果を発表するセッションが多くを占めますが、その他にも博物館展示に関するセッションや特定の分析技術の適用方法に関する研究等、テーマは広範に及びます。

私はセッション10Multi-disciplinary Research on Cultural Connection in Mainland Southeast Asia and its Applications」の共催者として参加し、「Revealing the Chronological Evolution of Provincial Urban Ruins in the Angkor Empire: Insights from a New Investigative Campaign at the Banteay Chhmar Archaeological Site」というタイトルでバンテアイ・チュマール遺跡にて今年から開始した研究について紹介しました。

このセッションは朝8:30から17:00まで続き、19名という全セッションで最も多くの発表者を集めたものでした。中でも私も含む5名がバンテアイ・チュマール遺跡群にかかる研究発表を行い、今後の世界遺産申請を視野にいれた研究成果の発表を行いました。

その他、カンボジアに関係するところでは、アンコール遺跡群に関する内容、出土陶磁器やその生産に関する内容、ポスト・アンコール時代に関する内容が多くありました。

カンファレンスの最終日にはSiam Societyにて昨年お亡くなりになったDamian Evansを偲ぶ会も催され、多くの関係者を集めました。もはやクメール研究における基礎インフラとといってもよいLiDARによる各遺跡群の地形データを広く提供した彼の功績は偉大なものであることは言うまでもありません。こうしたデータを広く共有し、その魅力を書籍や論文、展示会等の多様な手法で分かりやすく紹介した寛容な精神がこの地域の研究の在り方を大きく変えたように感じます。