アンコール・トムの都城内調査

2025年2月後半から3月初めにかけての2週間にて、アンコール遺跡群の中央に位置する12世紀後半に築造された都城アンコール・トム内での調査を行いました。奈良文化財研究所が長年にわたって研究と修理工事を進めている西トップとその近傍にて、寺院とその周辺の水路やマウンドとの関係解明を目的とした考古学・建築学調査です。

今回の調査は本研究室の他、奈良文化財研究所と東京文化財研究所、橿原考古学研究所のメンバーにて共同で実施しました。

水路跡の調査は昨年に引き続き実施したもので、今年度は境内正面位置でのトレンチ調査を行いました。

また、西トップの寺院正面に取り付いている仏教テラスにおいても、一部解体を伴う調査を行い、基壇内部とテラス周辺の構造解明を図りました。

奈良文化財研究所によって進められている修復工事は、仏教テラスの一部の工事を残すのみで、今年度中にはすべての工事を完了する予定です。

今回実施した調査は、その最終段階と連携するものでした。また、修復工事や発掘調査の成果を現場で紹介し、寺院内外の往時の様子を理解できるようにする計画も予定されており、そうした今後のサイト整備にも寄与することを目的として実施しました。

アンコール・トム内には多数の溜池とマウンドが散在しており、こうした構造物と宗教寺院との配置や相互利用の関係についても興味が持たれるところです。

今回の調査では、寺院に近接したマウンドの地形測量と表採調査を実施し、かつての利用状況について検討する材料を収集しました。

今後はこうしたマウンドや溜池を主体としたより詳細な調査を展開していきたいと考えています。

(おまけ)

プノン・バケン寺院の小丘からアンコール・ワットを指さして。。。

研究室のメンバーでアンコール遺跡内のいくつかの寺院を巡りました。。。

シェムリアップ市内のいろいろなレストランも。。。