モンゴルの文化遺産をめぐるミッションに参加して

この夏、モンゴルで行われた文化遺産調査ミッションに参加しました。広大な大地に点在する歴史的遺産をめぐる約2週間にわたる交流の旅を体験しました。

歴代遊牧民王朝の都城と墓

 

訪問の中心となったのは、歴代の遊牧民が築いた都市遺跡や貴族墓です。雄大な草原に残る遺構は、移動を基本とする遊牧文化と定住都市の関係を考える上で、非常に重要な手がかりを与えてくれます。

現地研究者との対話を通じて、東アジアにおける遊牧国家の歴史的位置づけについて,中華中央史観とは異なる視点と歴史認識があることに気づかされました。

初の鉱山博物館と地域博物館

 

鉱業の国モンゴルがにおいて2年前に開館した鉱山博物館を訪れる機会にも恵まれました。加えて、首都ウランバートルや地方各州の博物館も見学し、出土品の展示や文化財保存の現状についても理解を深める機会を得ました。博物館や地域の情報センターは、研究拠点であり,来訪者に歴史を伝え,そして地域社会が遺産を保護するための場としても利用されつつあります。

歴史研究と保護のありかた

 

国際共同による研究プロジェクトとして進められている発掘調査地の現場や、出土遺物の保存ラボについて視察の機会がありました。さらに、地方自治体の文化財部局を訪問し、行政による遺産保護と,地域の伝統的な信仰や慣習に基づく遺産の保護の相補的な在り方についても考えさせられました。特に,日本の4倍もの国土面積に多数の歴史的痕跡が点在し,それらを350万人という希薄な人口で保護していくためには,遊牧民が移動する先々でカストディアンとして遺産の保護に携わっていくことが不可欠です。こうした伝統的な仕組みを,行政が経済的にバックアップする取り組みなども進められていました。

モンゴルの伝統文化体験

 

行く先々では、各地のゲルで伝統芸能によるおもてなしをいただきました。新鮮な乳製品に加えて多様な肉料理やスープをはじめとするモンゴルの伝統料理と,音楽や舞踊、ホーミー(喉歌)など、遊牧民の文化を肌で感じました。

調査地では若手・シニアの専門家が学生に知識やノウハウを伝え,一体となって取り組んでいる様子に感銘を受けました。

2000キロを超える大移動

 

今回の調査は連日の長距離移動を伴い、オフロード走行も含めて総移動距離は2000キロを超えました。広大な草原と変化に富んだ自然環境の中での移動は、モンゴルという国のスケールの大きさを実感させてくれました。

そして,ドライバーはカーナビもGPSも用いることなく,塚石オボーを的確に辿って目的地に達する能力に驚かされる毎日でした。

短い期間ではありましたが、都市遺跡から伝統文化に至るまで、多面的にモンゴルの文化を学ぶ機会となりました。

モンゴルにおける友好と親交を伝える最も重要な手段として馬を与える慣習があるようですが,ありがたくも白馬を一頭譲り受けました。その名もHAKUBAと命名させていただきましたが,またいつかこの馬で大地を駆ける機会を得たいと思います。