2025/05/24
世界遺産学学位プログラムの修士1年生を中心とした学生と共に,碓氷製糸場と富岡製糸場を見学に行きました。碓氷製糸場は現役で稼働している工場であり,ここでは繭の乾燥から製糸までの様々な工程を見学させていただくとともに,現在の繭生産や工場経営の実情について様々な解説をいただきました。富岡製糸場では,通常は公開されていないエリアを含む各所を視察させていただき,また官営時代から民間払い下げ以降の長期にわたる経営やそれに伴う施設や技術の更新の歴史,近年実施された西繭倉庫の整備工事,そして現在進行中の乾燥場の工事や今後整備が予定されている首長館についてなど,幅広い解説をいただきました。
2025/05/17
世界遺産「明治日本産業革命遺産」の拠点施設である産業遺産情報センター(東京・新宿区)を訪問し,ジェネラルマネジャーの西川三津子氏より解説とご講義をいただきました。
この世界遺産は、日本の近代化を支えた八つの地域に点在する23の構成資産から成る「シリアルプロパティー」として登録されています。パネル展示や映像資料を活用しながら、構成資産がどのように有機的に連携し、日本の産業発展に果たした役割を全体としてどのように示しているか、各資産の歴史や機能を通じて詳細に解説いただきました。
また質疑の対話形式で,世界遺産登録にいたる長年にわたる国内外の専門家や多様なステークホルダーによる取り組みの経緯,センター設立の背景とその目的,そして情報提供にあたるガイドや語り部といった人を介したインタラクティブなインタープリテーションの仕組みについても詳しくお話を伺うことができました。
2025/05/03
谷根千エリアにおける五感の刺激を記録するまち歩きを研究室のメンバーで実施しました。博士後期課程のタマーシュさんの研究テーマは,日常的で私的あるいは地域で共有される遺産を発見し,それを共有していくことにあります。都内でも歴史的な建物や多様な景観要素がモザイク状に混在する谷根千を歩き,外部者がそこで何を感じるのかマッピングし,そこにある魅力を再認識する試みを行いました。
2025/04/05
都城アンコール・トムに引き続き、バンテアイ・チュマール遺跡群での調査を行いました。この遺跡は12世紀後半にアンコール王朝の地方拠点として築造されたもので、アンコール・トムとはTwin City(双子の都市)と位置づけられる遺跡です。今回は、1)遺跡群内に8基配置される衛星寺院の一つPr. Ta Naem寺院での考古学調査、2)巨大貯水池バライと中央寺院環濠におけるボーリング調査、3)中央寺院と二基の衛星寺院の三次元形状記録、に取り組みました。
2025/04/01
アンコール遺跡群の中央に位置する12世紀後半に築造された都城アンコール・トム内での調査を行いました。奈良文化財研究所が長年にわたって研究と修理工事を進めている西トップとその近傍にて、寺院とその周辺の水路やマウンドとの関係解明を目的とした考古学・建築学調査です。
2025/02/13
「飛鳥・藤原の宮都」の世界遺産推薦書が2025年1月末に日本政府よりユネスコ世界遺産センターに提出されました。来年2026年夏の世界遺産委員会にむけて、今後は諮問機関からの審査が進められます。
こうした中、世界遺産登録推進イベント「いざ世界へ! 飛鳥・藤原の宮都」が開催されました。「飛鳥・藤原を世界遺産へ~登録の先に描く地域の未来~」と題する講演の機会をいただきました。
2025/02/07
2025年2月4日、筑波大学東京キャンパスにて、日本政府外務省と筑波大学の共催による講演会「文化遺産の意図的破壊と国際社会の対応」が開催されました。本講演会には、学生、文化遺産の専門家、ICOMOS日本の会員などオンライン参加者を含む80名以上が聴講しました。
講演者には、文化遺産保護の分野で長年国際的に活躍されているムニール・ブシュナキ氏を迎え、過去半世紀にわたる文化遺産の意図的破壊に対する国際社会の対応について貴重な知見を共有していただきました。
2025/01/31
この記事は2025年1月25日~27日にかけてNan地方政府の支援の下、シラパコン大学Kreangkrai Kirdsiri教授の下に実施されたNan地域の遺産訪問のプログラムの経験に基づいて記したものです。
Nanにおける世界遺産申請の潜在的な可能性を検討することがこのプログラムの目的であり、3日間でNan地方における代表的な仏教寺院やストゥーパ、歴史都市の城壁や水路、旧王宮、博物館、そして先史時代の打製石器製作サイト(Phu Song, 15000 years old)、歴史時代の土器や陶器づくりの窯跡(Bo Suak, 14-15c)、さらにはBo Klua地方の伝統的な製塩集落を訪れました。
現在でも継承されている製塩の伝統を中心として、Nan地方における多数の文化資源を包括的に関連付けて、一つのストーリーを形成する試みを記しました。
2025/01/12
歴史と現代の多様な交錯
南イタリアの歴史都市を巡る調査記
青い海と険しい崖に抱かれたアマルフィ海岸、白亜の家々が並ぶプーリアの村々、そして石造りの洞窟都市マテーラ。イタリア南部には、古代から続く歴史の層が現代と交錯する魅力的な街が点在しています。
今回の調査では、ナポリを起点に、ピアニッロ、ポジターノ、アマルフィ、ラヴェッロ、ヴィエートリ・スル・マーレ、マテーラ、アルベロベッロ、ロコトロンド、グロットレを訪れました。さらに、ギリシャ・ローマ時代の遺跡であるペストゥムやポンペイにも足を運び、これらの都市がどのように時間とともに変遷し、現代の生活や観光と交わっているのかを探りました。
歴史と現代が織りなす多様な風景を、現地での観察を交えながらご紹介します。
2024/12/27
2024年11月21日、12月12日、文化遺産論の授業の一部分として、20世紀の建築遺産の保存と活用に関する講演とディスカッションの進行を担当しました。 2024年11月21日:『講演:20世紀中後期建築遺産入門: 保存と活用に関するケーススタディ』...