2025/04/05
都城アンコール・トムに引き続き、バンテアイ・チュマール遺跡群での調査を行いました。この遺跡は12世紀後半にアンコール王朝の地方拠点として築造されたもので、アンコール・トムとはTwin City(双子の都市)と位置づけられる遺跡です。今回は、1)遺跡群内に8基配置される衛星寺院の一つPr. Ta Naem寺院での考古学調査、2)巨大貯水池バライと中央寺院環濠におけるボーリング調査、3)中央寺院と二基の衛星寺院の三次元形状記録、に取り組みました。
2025/04/01
アンコール遺跡群の中央に位置する12世紀後半に築造された都城アンコール・トム内での調査を行いました。奈良文化財研究所が長年にわたって研究と修理工事を進めている西トップとその近傍にて、寺院とその周辺の水路やマウンドとの関係解明を目的とした考古学・建築学調査です。
2025/02/13
「飛鳥・藤原の宮都」の世界遺産推薦書が2025年1月末に日本政府よりユネスコ世界遺産センターに提出されました。来年2026年夏の世界遺産委員会にむけて、今後は諮問機関からの審査が進められます。
こうした中、世界遺産登録推進イベント「いざ世界へ! 飛鳥・藤原の宮都」が開催されました。「飛鳥・藤原を世界遺産へ~登録の先に描く地域の未来~」と題する講演の機会をいただきました。
2025/02/07
2025年2月4日、筑波大学東京キャンパスにて、日本政府外務省と筑波大学の共催による講演会「文化遺産の意図的破壊と国際社会の対応」が開催されました。本講演会には、学生、文化遺産の専門家、ICOMOS日本の会員などオンライン参加者を含む80名以上が聴講しました。
講演者には、文化遺産保護の分野で長年国際的に活躍されているムニール・ブシュナキ氏を迎え、過去半世紀にわたる文化遺産の意図的破壊に対する国際社会の対応について貴重な知見を共有していただきました。
2025/01/31
この記事は2025年1月25日~27日にかけてNan地方政府の支援の下、シラパコン大学Kreangkrai Kirdsiri教授の下に実施されたNan地域の遺産訪問のプログラムの経験に基づいて記したものです。
Nanにおける世界遺産申請の潜在的な可能性を検討することがこのプログラムの目的であり、3日間でNan地方における代表的な仏教寺院やストゥーパ、歴史都市の城壁や水路、旧王宮、博物館、そして先史時代の打製石器製作サイト(Phu Song, 15000 years old)、歴史時代の土器や陶器づくりの窯跡(Bo Suak, 14-15c)、さらにはBo Klua地方の伝統的な製塩集落を訪れました。
現在でも継承されている製塩の伝統を中心として、Nan地方における多数の文化資源を包括的に関連付けて、一つのストーリーを形成する試みを記しました。
2025/01/12
歴史と現代の多様な交錯
南イタリアの歴史都市を巡る調査記
青い海と険しい崖に抱かれたアマルフィ海岸、白亜の家々が並ぶプーリアの村々、そして石造りの洞窟都市マテーラ。イタリア南部には、古代から続く歴史の層が現代と交錯する魅力的な街が点在しています。
今回の調査では、ナポリを起点に、ピアニッロ、ポジターノ、アマルフィ、ラヴェッロ、ヴィエートリ・スル・マーレ、マテーラ、アルベロベッロ、ロコトロンド、グロットレを訪れました。さらに、ギリシャ・ローマ時代の遺跡であるペストゥムやポンペイにも足を運び、これらの都市がどのように時間とともに変遷し、現代の生活や観光と交わっているのかを探りました。
歴史と現代が織りなす多様な風景を、現地での観察を交えながらご紹介します。
2024/12/27
2024年11月21日、12月12日、文化遺産論の授業の一部分として、20世紀の建築遺産の保存と活用に関する講演とディスカッションの進行を担当しました。 2024年11月21日:『講演:20世紀中後期建築遺産入門: 保存と活用に関するケーススタディ』...
2024/12/06
2024年11月14日と21日の2回にわたり、博士後期課程3年の袁星雅が「文化遺産論」の授業をティーチングフェロー(TF)として担当しました。2回の共通テーマは「大規模開発事業の影響から文化遺産保全を考えよう:文化遺産保全における影響評価制度のあり方」です。それぞれの講義において、文化遺産保全における影響評価制度をテーマに、多角的な視点から実践的な議論を展開しました。
2024/09/05
今年創建1300周年を迎える多賀城。来月末に完成する南門復元工事も大詰めです。史跡整備の見本市ともいえるこの特別史跡では、建築復元、半立体表示(屋根組まで、柱列まで、基壇のみ)、盛土表示、平面表示、模型表示(復元建物、発掘遺構)、露出展示、AR、VR表示という考えうる全ての整備手法が見られます。地上遺構の復元が不確かな条件で、これらを組み合わせて、最大限の魅力伝達と最高のコストパフォーマンス、そして遺産の真実性の担保を図ってきた取り組みが蓄積されています。
中央政権が蝦夷併合を国衙の示威によって実現しようとした史実を実感します。
あとは南門から政庁への大通りを横断している道路と電線への対策にも期待したいです。
2024/08/31
三好市東祖谷の落合集落はいつかは行きたい伝建地区の一つでした。このたび、三好ジオパークの新規認定審査の機会に、この伝建地区を訪れる機会を得ました。吉野川とその支流の祖谷川が形作った険しい渓谷の自然美と、周囲の急峻な傾斜地に継承される伝統の知恵と生活。三好ジオパーク構想では、これらを学び、残していくための魅力的な物語が紡ぎだされ、体験するための様々な試みが準備されていました。
また、当地を訪問する機会を設けたいと考えています。